はじめに
「手指消毒用アルコール」や「アルコール飲料」など、日常生活でよく耳にする「アルコール」ですが、具体的にどんな成分、どんな性質をもったものか分かりますか?
アルコールとは
①炭化水素の水素をヒドロキシ基(-OH)で置換した構造の化合物の総称
②エタノール(エチルアルコール)のこと
という大きく2つの意味を持ちます。
このページでは、②エタノール(エチルアルコール)について解説します。
なお、①総称としてのアルコールは別のページで解説しております。
アルコールとエタノール①
化合物の総称としてのアルコール
はこちら
エタノールの種類
合成方法による分類
エタノールは合成方法によって合成エタノールと発酵エタノールの2種類に分類されます。
法令による分類
エタノールはその純度や生成方法、性質によって、飲用、医薬用、および工業用に分類され、それぞれ適用される法令が異なります。
実装ラインにおいてメタルマスクの洗浄やプリント基板の洗浄などに使用されるエタノールは工業用の分類に該当し、アルコール事業法の適用を受けます。
ここからは、工業用に使用されるエタノールとアルコール事業法について紹介します。
工業用アルコールとは
アルコール事業法が適用される対象はエタノールを90度(容量%)以上含有する製品で、一般的に工業用アルコールと呼ばれています。
アルコール事業法の定めるエタノールには一般アルコール、特定アルコール、変性アルコールがあります。
一般アルコール
酒類原料への不正使用を防止する加算額が含まれない安価なエタノールです。使用に当たっては経済産業省の事前の許可が必要であり、使用等の記帳、使用数量の定期報告が必要です。
特定アルコール
酒類原料への不正使用を防止する加算額を価格に含むエタノールで、経済産業省への事前許可や使用等の記帳といった手続きは必要なく、自由に使用できます。
変性アルコール
特定アルコールのように経済産業省への許可申請・定期報告なしで使用でき、一般アルコールのように加算額が課されません。
一般アルコールは課税が無いため安価ですが、事前の使用許可や使用量の定期報告が必要となり手間がかかります。特定アルコールは、飲用のエタノールと同じく課税されるため価格が高くなります。経産省による事前許可・定期報告が不要で安価な「変性アルコール」とはどのようなものでしょうか?