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パーティクルとはナノミクロン〜マイクロミクロンサイズの微細な粒子の総称で、電子機器・部品類の製造工程で発生・混入すると製品の品質や歩留まりに悪影響を及ぼす可能性のある異物のことです。 パーティクルは加工・成形の際に生じる切削粉や、空気中の塵埃、製造装置の可動部が接触・摩耗することで生じる金属・樹脂のカスなど、有機物・無機物を問わず様々です。 |
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中でも最大のパーティクル発生源の1つとなっているのが現場作業者自身です。人間の体に付着している皮脂や皮膚片、繊維くず、更に化粧品や整髪料に含まれる成分などもパーティクルであり、製品表面を汚染したり製品の電気的信頼性を損ねたりするリスクがあります。 もちろん、現場作業者は現場の清浄度に応じて無塵服やマスクなどの着用をしていますが、人の発するパーティクルをゼロにすることは困難です。 |
例えば、最近の自動車には多数のカメラモジュールや光学センサが使われています。こうしたセンサーの製造工程で、部品の中にパーティクルが残留した場合、イメージセンサや光学素子といった重要な部品を汚染し、誤動作や誤検知による重大事故を引き起こす恐れがあります。
他にも、モバイル端末向けのカメラモジュールでは小型化・高機能化がすすみ、より小径・少量のパーティクルでも残留すると製品の品質に影響を与える存在となっています。パーティクルの除去工程では、ますます高度な洗浄品質が求められています。
パーティクル除去用洗浄剤としては、HFE(ハイドロフルオロエーテル)やHFC(ハイドロフルオロカーボン)といったフッ素系の洗浄剤、界面活性剤やアルカリ成分を含んだ水系洗浄剤、純水が多く使われてきました。それぞれのメリット・デメリットを下記にまとめましたのでご参照ください。
従来の洗浄システムでは洗浄性能とコスト、安全性・環境への適合性をすべて満たすシステムはありませんでした。
メリット | ・不燃性 ・乾燥性に優れる。 ・樹脂や金属部材に対する影響が少ない。 |
デメリット | ・油脂に対する溶解力は限定的。 ・人への健康被害が発生する懸念がある。 ・欧米では2025年にも全PFAS(フッ素系化合物)の製造・使用が規制され、日本でも対策が検討されている。 |
メリット | ・引火点が無く、安全。 ・VOC(揮発性有機化合物)や地球温暖化係数は ほぼ0。 |
デメリット | ・リンス工程では純水のかけ流しによる大量の廃水が発生する。 ・廃水処理にコストがかかる。 ・リンスですすぎ切れなかった界面活性剤やアルカリ成分が残留し、電子回路の信頼性を損ねる懸念がある。 |
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化研テックでは、フラックス洗浄分野で培ってきたノウハウを基に、パーティクル除去専用システムマイクロクリーナーFPSを新規開発しました。 高いパーティクル除去性能と環境負荷の低減を両立した洗浄システムで、電子デバイスの高性能化に伴って課題となっている小径・少量のパーティクルも良好に除去できます。 | |
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フッ素系洗浄剤といった従来の洗浄剤では対応が困難だった付着力の強い人体由来の有機パーティクルや、微小パーティクルに対しても極めて高い除去性能を発揮します。
洗浄対象物 | 洗浄前 | マイクロクリン FPS-4712 | マイクロクリン FPS-4700 | フッ素系洗浄剤 | 水系洗浄剤 |
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皮脂+皮膚片 平均粒径:約20μm | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
◎ | ◯ | △ | ◯' | ||
アルミナ 平均粒径:約3μm | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
◎ | ◎ | ◎ | ◯ | ||
タルク 平均粒径:約0.5μm | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
◎ | ◯ | △ | ✕ |
除去率評価基準 ◎:99%以上 ◯:98 ~ 90% ◯':89 ~ 70% △:69 ~ 40% ✕:39%以下
洗浄条件 超音波45kHz/300W、50℃/1min洗浄
新たに開発したマイクロクリンFPSシリーズはPFAS(フッ素系化合物)フリー!また、約70%が水分で構成されているため、従来の溶剤系洗浄剤と比べ低VOCを実現しました。特に低VOCタイプはVOCの含有量が100g/Lを下回り、中国で2020年に施行された強制国家標準(GB38508-2020)において「低VOC含有量半水系洗浄剤」に分類されています。
日本国内においては、引火点が無いため消防法に非該当!有機則(労働安全衛生法 有機溶剤中毒予防規則)にも非該当のため洗浄方法に依らず安全にご使用いただけます。
品名 | マイクロクリン | |
---|---|---|
FPS-4712 | FPS-4700 | |
比重 | 0.98 | 0.99 |
表面張力 mN/m(25 ℃) | 30 | 32 |
沸点 ℃ | ≧100 | ≧100 |
引火点 ℃ | なし | なし |
オゾン層破壊係数(ODP) | 0 | 0 |
消防法 | 該当せず | |
労働安全衛生法(有機則) | 該当せず | |
化管法(指定化学物質) | 該当せず | |
環境省 VOC対象100物質 | 含有せず | |
中国VOC規制 (GB38508-2020) | 半水系洗浄剤 | 低VOC含有量 半水系洗浄剤 |
化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)におけるPFASの規制状況は以下の通りです。 (2025年1月現在)
・PFOS:2010年に第一種特定化学物質に指定されており、2018年以降は全用途で製造・輸入が原則禁止されている。
・PFOA:2021年に第一種特定化学物質に指定されており、製造・輸入が原則禁止されている。
・PFHxS:2024年2月から第一種特定化学物質として規制が開始され、試験研究目的以外での製造、輸入、使用は禁止されている。
EUでは、一定以上の濃度のPFASを含有する製品の製造や販売、使用を全面的に禁止する規制案が出てきています。
アメリカでは、商業目的でPFASを含む商品を製造・輸入した事業者はPFASに関連する情報の提出が義務付けられており、対象は1,462種以上のPFAS化合物となっています。
洗浄剤には不揮発成分を含有していませんので、フッ素系洗浄剤と同様に1液で洗浄~リンスが可能です。リンス工程に水は使用しませんので、廃水の発生はゼロ! また、蒸留再生とフィルタ機構を併用することで、液中に混入・溶け込んだパーティクルなどの汚れ成分の残留と再付着を徹底的に抑制するため、液交換はほとんど不要となり新液の補充だけで運用が可能です。 |
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