透明導電フィルム向け 低温熱圧着導電性シート

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はじめに

持続可能な社会の実現のため、省エネや再生可能エネルギーを活用すべく日々新たなグリーンテクノロジーが生み出されています。その一つとしてフィルムデバイスの開発に注目が集まっています。

軽くて薄く、しかも柔軟な透明フィルムデバイスはこれからもますます需要が拡大すると見込まれています。

透明フィルムデバイス開発の課題は?

透明導電フィルムは熱に弱い

一般的にフィルムデバイスに使われる透明導電膜はPETフィルム表面に導電性を持たせたものですが、薄くて軽い反面、熱に対して非常に弱い部材です。

電子回路の導電接続には「はんだ付け」が用いられますが、太陽電池やヒーターが形成されたフィルムデバイスへの接続には、高温となるはんだは使用することができません。はんだ付けに代わって異方性導電フィルム(ACF)や導電性接着剤を使用されることがありますが、それぞれに短所があり、フィルムデバイスの機能を十分に引き出せないという技術的な課題があります。

課題解決! 新開発 低温熱圧着導電性技術 TKS-030

低温でフレキシブルな導電接着を実現

化研テックではこの課題を解決するために特殊な形状の銀粉を用いた、低温で接着できる導電ペーストTKS-030を開発しました。
☝ 柔軟性があり伸びにも強いため薄いフィルムデバイスに最適。3次元形状への成型も可能。
☝ ITOフィルムなどから直接配線を取り出せるため薄型化と工数低減が可能。
☝ 柔軟性があり伸びにも強いため、薄いフィルムや3次元形状への成型も可能です。
☝ PET、PEN、PI、ポリカーボネートなどへの密着性が良好。
TKS-030を使用すれば、簡便な工程でフィルムに導電接着することができます。

透明フィルムデバイスからの電極取り出し方法の比較

化研テックが開発した新しい接着剤TKS-030と従来の方法を比較すると下記のとおりです。

TK PASTE
熱圧着タイプ
導電性接着剤
(熱硬化)
異方性導電
フィルム(ACF)
はんだ付けハトメ
熱変形△~○××
柔軟性×××
導電性-
薄さ××
工程数×△~○
特長導電性フィルムの
電極取出しに最適
柔軟性がなく
割れや反りが発生
高温加熱が必要
抵抗値が高い
高温でフィルムには
使用できない
柔軟性がない
薄くできない

従来の方法にはいずれも課題があり、フィルムデバイスの長所を引き出せていると言えません。低温熱圧着で接着できるTKS-030は、薄くて柔軟な透明導電フィルムから電極を取り出す最適な方法です。

決め手は銀のカタチ!?最適な形状の銀粉を開発

化研テックでは様々な形状の銀粉を使用して、他にはない導電性接着剤を開発しています。

今回開発したTKS-030も銀粉の形状が、フィルムデバイスに最適なものを採用しています。

【従来の導電性接着剤
フィルムに塗布された導電性接着剤は、曲げられた際に左右に引き伸ばされます。導電性接着剤の内部では銀粉同士が離れた状態となり、抵抗値が上昇し導電性が低下します。
   
【TKS-030】
化研テックでは柔軟性と安定した導電性を両立するために、大判で薄い特殊な銀粉を開発。これを配合することで、曲げても導電性が低下しにくい導電性接着剤が開発できました。

想定される用途

透明フィルムデバイスの導電接続
・エネルギー分野:有機薄膜太陽電池(ぺブロスカイトなど)
・自動運転:透明ヒーター(カメラの曇り止め)、透明アンテナ(車車間および路車間通信)
・電気自動車:調光フィルム(電子調光窓)

製品仕様と使用方法

製品仕様と一般性状

スクリーン印刷できるペーストタイプと印刷済みのシートタイプで提供が可能です。

 低温熱圧着導電接着剤
TK PASTE TKS-030
性状ペーストタイプシートタイプ
主成分銀、熱可塑性樹脂
基材層-圧延銅箔
(C1020 50um)
印刷部サイズ-75mm×75mm
(プレカット幅:5mmまたは3mm)
ペースト塗付方法スクリーン印刷-
ペースト乾燥条件60℃×40分~100℃×20分-
圧着条件100~120℃/60~120秒/0.5~2.0MPa
比抵抗2×10-4Ω・cm
保管条件冷凍(-10℃以下)常温

使用方法

  1. 熱圧着したい基材にスクリーン印刷し、所定の温度と時間で乾燥させてください。(ペーストタイプ)
  2. 熱圧着銀ペースト層と接着したい導電面を合わせて熱圧着してください。
    導電面に凹凸があったり、均等に熱圧着されないと十分に強度が得られないことがあります。
    十分な接着強度が得られない場合は、温度・時間・圧力を調整してください。
  3. 接着した電極に配線などを接続してください。

活用事例

液晶調光フィルムの取り出し電極に使用

課題:従来の工法でははんだ付けするための銅テープとITO面の抵抗値が高く、銀ペーストを併用。また、はんだを使用するので配線部分が分厚くなってしまう。
  
  
TKS-030を使用:配線用の電極端子を直接ITOに熱圧着できる。厚みも半分以下に薄くスマートになり、工程も大幅に短縮できた。
  

透明ヒーターの配線と電極に使用

課題:透明導電フィルムに銀ペーストなどで配線を形成し、電極にACFで接着。抵抗値が高く、局部的に発熱してしまうなど安定した導電性が得られない。
TKS-030を使用:透明導電フィルムに直接TKS-030熱圧着シート(銅箔タイプ)を熱圧着した。直流電流を流すと発熱し、局部的な発熱が無いことを確認できた。

TKS-030熱圧着シートを直接 熱圧着。

電流を流すと発熱。
局部的な発熱もない。

フィルム太陽電池の電極に使用(開発中)

課題:フィルム基板に形成された電極にACFや導電テープで導電接着。接着部分の抵抗値が高く、低抵抗化が課題となっている。
TKS-030を使用:フィルム基板に形成した有機薄膜太陽電池の電極接着にTKS-030熱圧着シート(銅箔タイプ)の使用を検討。低抵抗で安定した特性が得られており、実用化に向けて開発中。

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