有機溶剤中毒予防規則(有機則)は労働安全衛生法及び労働安全衛生法施行令の規定に基づき、並びに同法を実施するため、「有機溶剤による中毒の予防に必要な事項のうち、現行労働安全衛生規則に規定されていない事項及び規定されてはいるが更に具体的に規定する必要がある事項について、単独の規則を制定して規制」しています。
有機則の対象となる有機溶剤及び有機溶剤含有物は、その有害性に応じて3種類に区分されておりIPA等、実装現場で多用される溶剤が該当します。このページでは実装工程に関わる部分に着目して分かりやすく解説します。
有機溶剤は、その毒性と蒸発速度とから有害度を決定し、有害度の高いものが第1種有機溶剤に、中程度のものが第2種有機溶剤に、低度のものが第3種有機溶剤に区分されています。
分類 | 物質名(赤色は実装工程で使用されることの多い溶剤です。) |
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第1種有機溶剤 | 1,2-ジクロロエチレン(二塩化エチレン) 、二硫化炭素 |
第2種有機溶剤 | アセトン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソベンチルアルコール(イソアミルアルコール)、エチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル(セロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(セロソルブアセテート)、エチレングリコールモノ-ノルマル-ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、オルト-ジクロロベンゼン、キシレン、クレゾール、クロロベンゼン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸エチル、酢酸ノルマル-ブチル、酢酸ノルマル-プロピル、酢酸ノルマル-ベンチル(酢酸ノルマル-アミル)、酢酸メチル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、N,N-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、1,1,1-トリクロロエタン、トルエン、ノルマルヘキサン、1-ブタノール、2-ブタノール、メタノール、メチルエチルケトン、メチルシクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノン、メチル-ノルマル-ブチルケトン |
第3種有機溶剤 | ガソリン、コールタールナフサ(ソルベントナフサを含む)、石油エーテル、石油ナフサ、石油ベンジン、テレピン油、ミネラルスピリット |
有機溶剤含有物(有機溶剤と有機溶剤以外のものとの混合物で、規則の対象となる有機溶剤の含有率が5重量%を超えるもの)も規則の対象となります。
有機溶剤業務は12業務が規定されています。(赤色の業務が実装工程と関わる業務です。)
屋内作業場等として
が対象とされています。
まずは、使用する有機溶剤等の危険有害性を確認し、関係者に周知を徹底し、必要な対策を講じる必要があります。
他にも
✤作業主任者の選任
有機溶剤作業主任者技能講習を修了した者のうちから、有機溶剤作業主任者を選任する。
✤有機溶剤蒸気の発散源対策
有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置、プッシュプル型換気装置などを設置する。
✤作業環境管理
第1種および第2種有機溶剤を使用して有機溶剤業務を行う屋内作業所場では、作業環境測定(6か月以内ごとに1回実施)を実施する。
測定は作業環境測定士の国家資格を有する者が実施する必要があるため、社内にいない場合は登録を受けた作業環境測定機関に測定を依頼する。
✤掲示と保管
作業主任者の氏名、職務、有機溶剤が人体に及ぼす作用等、取扱う有機溶剤等の区分の表示などを、作業中でも容易に分かるよう見やすい場所に掲示する。
✤健康管理
有機溶剤等健康診断を実施する。
と言った義務が生じます。
☆NOTE☆ 義務は第1種/第2種/第3種の区分や有機溶剤業務等に応じて異なります。
消費する有機溶剤等の量が少量で、許容消費量を超えない時は、所轄の労働基準監督署長の適用除外認定を受けることができます。
消費する有機溶剤等の区分 | 有機溶剤等の許容消費量 |
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第1種有機溶剤等 | W=1/15×A |
第2種有機溶剤等 | W=2/5×A |
第3種有機溶剤等 | W=3/2×A |
備考 W=有機溶剤等の許容消費量(グラム) A=作業場の気積(床面から4mを超える高さの空間は除く、m3)。 ただし、気積が150m3を超える場合は、150m3とする) |
この認定を受けていない場合は、たとえ消費量が少量であっても、作業環境測定や健康診断等の実施が必要です。
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