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実装とはエレクトロニクスの分野では機器や装置の中に何らかの機能(電気的な機能)を果たす電子部品を組み込むことで、具体的にはプリント基板に電子部品をはんだ付けすることをいいます。アセンブリ、パッケージングなども実装の類義語として扱われます。
実装工程において洗浄は不可欠な工程です。実装工程とそれにまつわる洗浄を以下に示すと、電子機器で用いられる部品は、挿入部品(またはリード部品)と表面実装部品(SMD:Surface Mount Device)の二つに分類されます。挿入部品は、プリント基板上の穴に部品のリード線を差し込んで実装します。SMD部品は、穴をあけることなくプリント基板上に貼り付けるように実装(SMT:Surface Mount Technology)する方法で、最近のディジタル機器の部品は、ほとんどが表面実装部品になりつつあります。しかし、電源や電流容量の多い場所などでは、リード部品も依然として使われています。
以下の工程では、表面実装の後に挿入部品を実装する両面実装の工程にて洗浄との関わりを示していきます。
特に品質を要求される商品では購入基板のバリや汚れを水洗浄にて洗浄するケースがあります。プリント基板の製造工程においてレジストインキや表示印刷をスクリーン印刷で行う場合、スクリーン版、メッシュ版の開口部に付着する各種インキの洗浄が必要となります。
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はんだ印刷にはマスク印刷が用いられることが多く、メタルマスク版、スクリーン版、メッシュ版等の開口部に付着するはんだペーストを洗浄する必要があります。洗浄を怠ると潰れはんだがメタルマスク版等に強固に付着したり、付着したペーストによりはんだ量が不足する等、はんだ付け不良が発生します。
実装密度が上がってきたことにより、メタル版等の印刷パターンがファインピッチになり、従来では手拭き洗浄で対応出来た版洗浄が、超音波洗浄・シャワー洗浄などの洗浄装置を使用した洗浄が一般的になっています。メタルマスク版、メッシュ版の洗浄においてははんだペーストの洗浄性だけでなく版枠の接着剤、メッシュ版の乳剤への耐性影響など版耐性を確認しなければなりません。
また、印刷装置の構成部品で、はんだペーストを塗布する(かき取る)スキージと呼ばれる部品がありますが、このスキージに付着したペーストの洗浄も必要です。
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表面実装部品をマウンタと呼ばれる装置を用いて前工程で印刷されたはんだペースト上に部品を高速で搭載します。マウンタの部品吸着ノズルにゴミ、ブツが付着し部品吸着を妨げる事があり、吸着ノズルの洗浄はかかせません。
事前に部品固定のための接着剤をスクリーン印刷することがあり、スクリーン版(メタルマスク)に付着する接着剤の洗浄が必要な場合があります。また、搭載する表面実装部品そのものの生産工程においても、銀パラジウムペースト、ニッケルペースト等の厚膜ペーストを印刷するのスクリーン版、メッシュ版、シリンダーロールなどの洗浄が必要です。
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はんだペースト上に表面実装部品を搭載し、リフロー炉で加熱しはんだペーストを溶融させ、部品を基板上のパッド部に接合させます(表面実装=SMT)。リフロー炉内でははんだ溶融の際にガスが発生し、リフロー炉内の熱交換部品などリフロー炉パーツの温度の低い内壁に結露、付着し、ヤニとなって固着します。固着したヤニにより、熱交換の能力不足、大量に固着したヤニのワークへの垂れ落ちなど不良につながるため、リフロー炉パーツの定期的なメンテナンス清掃が必要です。
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両面実装の場合、3.4.の表面実装後にフローはんだ槽にて挿入部品が搭載された基板をはんだ付けします。既に搭載された表面実装部品等、はんだと接触させたくない部分や、挿入部品とはんだ付けする部分だけが開口したキャリアパレット(フローパレット・フローはんだマスク)と呼ばれる耐熱性のある実装用搬送治具を装着し、フローはんだ槽の隆起している溶融はんだ上を接触通過させます。このときにキャリアパレットの開口部エッジにフラックスが付着し、付着したフラックスによってはんだが這い上りマスキングした部分にもはんだが付着する事があるため、キャリアパレットの定期的な洗浄が必要です。
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はんだ付け後のフラックス残渣はその後の回路特性に影響を与える場合があります。最近は実装密度が上がり、小サイズチップ搭載、狭ピッチ、ファインピッチの実装や、航空機、自動車など信頼性を要求される実装はフラックス洗浄が必要です。また、後工程でワイヤーボンディング、アンダーフィル挿入、防湿コートなどポッティング樹脂塗布などを行う際はフラックス残渣が塗布材料の密着性を阻害する場合があり、洗浄が必要です。その他、はんだボール除去、検査工程でのピンチェッカーの接触不具合による洗浄要求があります。
EU全域での電子機器への鉛を含む10化学物質使用禁止(RoHS指令)により、錫・銀・銅を主体とする鉛フリー(鉛フリー)はんだの使用が全体の80%に達する中、従来の鉛入りの共晶はんだに比べ鉛フリーはんだペーストは融点が約30℃ほど高く、フラックス残渣が焼き付き、又は炭化しています。また、高温になることで配合されるチキソ剤などの粘度調整剤は一般的に洗浄剤への溶解性が低いです。更に共晶はんだより濡れ性が低いため活性剤の増量、強い活性成分を使用している傾向があり、その反応残渣、金属塩の生成物は洗浄阻害因子となります。洗浄が困難になっていくフラックス残渣に対して洗浄剤改良、新規開発はかかせません。
過去にも洗浄における大きな環境対応としてフロン・トリクロロエタンの代替対応がありました。乾燥性が良く、非危険物であるフロン・トリクロロエタンはオゾン層破壊の要因として使用規制がされ他の手段に代替されました。その中で多く使用されたのは代替フロン(HCFC)でしたが、2020年に生産が全廃され再度の代替を余儀なくされています。次に多く使用されたのが準水系の洗浄剤でしたが、排水問題、洗浄液の更新頻度が多いこと等から近年そのシェアを減じています。
このフラックス洗浄の工程は既に電子部品が実装された後の洗浄であるため、実装部品等への影響も考える必要があります。水晶振動子など超音波を嫌う部品や、アルミ電解コンデンサ、樹脂コネクタなど耐溶剤性の低い部品への影響と難洗浄となるフラックス残渣との洗浄性のバランスが最も難しいです。
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実装部品の検査を画像認識検査機や目視にて行います。実装不良の際はリペアと呼ばれる再実装を実施し、その後の洗浄も必要となります。
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以上が大まかな実装工程となります。多くの部分で洗浄がその実装商品の品質に関わっていることをご理解頂ければ幸いです。
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