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最終更新日:2024年3月1日公開日:2022年8月3日 Content1. はじめに2. 指定可燃物とは3. 指定可燃物の種類と数量4. 指定可燃物の届出5. 可燃性液体(指定可燃物)と第4類引火性液体(消防法危険物)の違い5.1. 消防法危険物 第4類とは5.2. 危険物第4類 引火性液体からの除外条件5.3. 指定可燃物となる条件6. 実例6.1. メタルマスク洗浄剤 HA-27896.2. HA-2789の実際の運用7. 関連記事・製品 はじめに 消防法の定めるところに、「指定可燃物」という分類がありますが そもそも、指定可燃物って何? 指定可燃物は届出が必要? 消防法の危険物とどう違うの? 指定可燃物を保有する場合の注意事項は? などの疑問を抱えている方が多いかと思います。 このページでは、指定可燃物の種類と数量、保管・取扱いに関してだけでなく、可燃性液体(指定可燃物)と第4類引火性液体(消防法危険物)の違いについても解説しています。 指定可燃物とは 指定可燃物とは、わら製品、木毛その他の物品で火災が発生した場合にその拡大が速やかであり、又は消火の活動が著しく困難となるものとして政令で定めるもの(消防法第9条の4)です。 指定可燃物の品目や数量は政令(危険物の取扱に関する政令)に、貯蔵や取扱いに関する基準は条例(市町村条例)に定められています。 このページでは弊社本社のある大阪府交野市の火災予防条例に基づき、指定可燃物について解説いたします。 指定可燃物の種類と数量 品名指定可燃物となる数量届け出が必要となる数量 綿花類200kg1,000kg 木毛及びかんなくず400kg2,000kg ぼろ及び紙くず1,000kg5,000kg 糸類1,000kg5,000kg わら類1,000kg5,000kg 再生資源燃料1,000kg1,000kg 可燃性固体類3,000kg3,000kg 石炭・木炭類10,000kg50,000kg 可燃性液体類2m32m3 木材加工品及び木くず10m350m3 合成樹脂類発泡させたもの20m320m3 その他のもの3,000kg3,000kg 指定可燃物の届出 上の表で「指定可燃物となる数量」以上を貯蔵・取扱う場合は、その位置・構造や設備について市町村の火災予防条例に定められた技術上の基準を順守しなければなりません。 さらに指定可燃物になる量の5倍(上の表で「届け出が必要となる数量」)以上を貯蔵・取扱う場合はあらかじめ消防長(消防署長)に届け出る必要があります。※再生資源燃料、可燃性固体類、可燃性液体類、合成樹脂類は指定可燃物となる数量以上を貯蔵・取扱う場合に、位置・構造や設備について市町村の火災予防条例に定められた技術上の基準を順守するとともにあらかじめ消防長(消防署長)に届け出が必要です。 たとえば紙くずを例にとって考えると、A4サイズのコピー用紙(約4g/枚)を25万枚以上を貯蔵する場合に指定可燃物となり、貯蔵場所の位置や構造、設備について規制を受けます。さらに、125万枚以上を貯蔵する場合はあらかじめ消防署長に届け出が必要です。 実装工程で使用される洗浄剤の中には2m3以上保有すると指定可燃物(可燃性液体)に該当するものもあります。そういった量の洗浄剤を取扱う場合は、市町村条例の規制に準じた取扱い場所の位置や構造、設備を準備し、さらにあらかじめ消防署長への届け出が必要となります。 可燃性液体(指定可燃物)と第4類引火性液体(消防法危険物)の違い 実装工程で使用される洗浄剤には、 ・ 数量に関わらず危険物(引火性液体)に該当するもの、 ・ 数量に関わらず該当しないもの、 ・ 貯蔵・取扱う数量によって指定可燃物(可燃性液体類)になるものがあります。 ここからは、それぞれの違いを紹介いたします。 消防法危険物 第4類とは まずは消防法の危険物第4類に該当するか、該当しないかを分ける基準を確認します。 消防法の危険物第4類 引火性液体では、引火点やその他物性を基準に下表のように分類しています。 そもそも引火点が無い液体や引火点が250℃以上の液体は消防法の危険物第4類に該当しません。 品名基準物質例 特殊引火物1気圧において発火点100℃以下のもの又は引火点が-20℃以下で沸点が40℃以下のもの二硫化炭素、ジエチルエーテル、アセトアルデヒド、酸化プロピレンなど 第一石油類1気圧において引火点が21℃未満のもの非水溶性ガソリン、ベンゼン、トルエンなど水溶性アセトン、ピリジンなど アルコール類1分子を構成する炭素の原子の数が1個から3個までの 飽和一価アルコール(変性アルコールを含む)メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコールなど 第二石油類1気圧において引火点が21℃以上70℃未満のもの非水溶性灯油、軽油、キシレンなど水溶性酢酸など 第三石油類1気圧において引火点が70℃以上200℃未満のもの非水溶性重油、ニトロベンゼンなど水溶性エチレングリコール、グリセリンなど 第四石油類1気圧において引火点が200℃以上250℃未満のものギヤー油、シリンダー油など 動植物油類動物の脂肉等又は植物の種子若しくは果肉から抽出した もので1気圧において引火点が250℃未満のものアマニ油、ヤシ油など 危険物第4類 引火性液体からの除外条件 実は危険物第4類 引火性液体の基準を満たすものであっても、特定の条件を満たせば引火性液体に該当しないとすることが総務省令(危険物の規制に関する規則)で定められています。 その条件は下記の通りです。 アルコール類 1分子を構成する炭素の原子の数が1~3個までの飽和一価アルコールの含有量が60%未満の水溶液。 ①可燃性液体量が60%未満、②引火点がエタノールの60%水溶液の引火点を超える、③燃焼点がエタノールの60%水溶液の燃焼点を超えるの条件をすべて満たすこと。 第2石油類 ①引火性液体の含有量が40%以下、②引火点が40℃以上、③燃焼点*が60℃以上の条件を全て満たすこと。 *燃焼点:燃焼が継続するのに必要な最低の液温 第3石油類第4石油類 ①引火性液体の含有量が40%以下の条件を満たすこと。 動植物油類 総務省令に則ったタンクに、加圧しないで常温で貯蔵保管されていること 総務省令に規定された容器に、省令に従って収納され貯蔵保管されていること ☆Note☆ 特殊引火物、第1石油類には除外条件はありません。 指定可燃物となる条件 ☞消防法の危険物第4類の第2石油類/第3石油類/第4石油類の基準を満たし、 危険物第4類 引火性液体からの除外条件を満たす(=引火性液体に該当しない)もので、 一定数量以上保有・取扱う場合に指定可燃物に該当します。 実例 一定数量以上を貯蔵・取扱う場合に指定可燃物となる製品の例として、弊社製品のメタルマスク洗浄剤HA-2789を紹介します。 メタルマスク洗浄剤 HA-2789 HA-2789の物性(抜粋)は下の表のとおりです。 物理状態引火点沸点引火性液体含有量 液体97℃100℃以上40%以下 引火点が97℃なので第3石油類の基準を満たしますが、引火性液体の含有量が40%以下であるため引火性液体には当たらず、2m3以上保有する場合は指定可燃物となります。 HA-2789の実際の運用 2m3はリットルに換算すると、2,000リットルとなります。 HA-2789の入り目は12kg/缶(比重が0.97のため容量に換算する約12.37リットル/缶)ですので、2,000リットルの保有量は2,000リットル÷12.37リットル/缶=161.68缶(≒162缶)となります。 しかし実際にHA-2789を運用する際、例えば弊社の推奨する洗浄機(サワーエコブリッドSC-AH100-LV)に投入して使用する場合、洗浄機を動かすのに必要な液量(取扱う量)は15リットルで、指定可燃物に該当する量である2,000リットルの1/100以下で運用でき、届け出の必要はありません。 このように実装工程においては2m3もの量の洗浄剤を貯蔵・取扱うことは極めて稀な事例かと思います。ですが、貯蔵・取扱う数量によって、指定可燃物に該当し消防署長への届け出などが必要となることは認識しておくべきです。 *本ページに記載されている情報について、詳細および最新情報は各市町村のウェブサイトなどをご確認ください。 関連記事・製品 製品紹介 メタルマスク・スクリーンマスク用洗浄剤HAシリーズ 手洗浄だけでなく設備に投入しての洗浄も可能!ペーストや接着剤の種類に合わせて幅広いラインナップを準備しています!IPAの代替にも◎! 困ったときの解説ページ 危険物の指定数量とは 消防法の危険物を取扱い、貯蔵、運搬するうえで重要な概念に「指定数量」があります。実装工程で使用される洗浄剤の多くが該当する「消防法 第4類 引火性液体」の指定数量を中心に解説します。 困ったときの解説ページ エレクトロニクス実装工程における洗浄 実装工程にまつわる洗浄について、表面実装(リフロー工程)の後に挿入部品を実装する(フロー工程) 両面実装の工程を例に説明しています。 困ったときの解説ページ 洗浄剤にかかわる法令の遵守 産業洗浄にかかわる各種法令と代表的な該当化学物質を紹介しています。例えば、実装工程で使用されているIPAやアセトンは消防法だけでなく有機則にも該当します。 お問い合わせ SDSの送付依頼はこちら 日本国外の方は英語ページでお問い合わせください。 ご不明な点やお問い合わせがございましたら、下記のフォームよりご連絡ください。 お問い合せの内容によっては、ご返事までにお時間をいただくこともございます。 SDS(安全データシート)がご入用の方は、上にあります「SDSの送付依頼はこちら」よりお問い合わせください。 ‼ お問い合わせフォームからのセールス等は固くお断りいたします。送信いただいても対応いたしかねます。 ‼ JavaScriptがオフです。オンにしてアクセスして頂くと、問合せフォームが表示されます。 一覧に戻る
消防法の定めるところに、「指定可燃物」という分類がありますが
指定可燃物の品目や数量は政令(危険物の取扱に関する政令)に、貯蔵や取扱いに関する基準は条例(市町村条例)に定められています。 このページでは弊社本社のある大阪府交野市の火災予防条例に基づき、指定可燃物について解説いたします。
上の表で「指定可燃物となる数量」以上を貯蔵・取扱う場合は、その位置・構造や設備について市町村の火災予防条例に定められた技術上の基準を順守しなければなりません。
さらに指定可燃物になる量の5倍(上の表で「届け出が必要となる数量」)以上を貯蔵・取扱う場合はあらかじめ消防長(消防署長)に届け出る必要があります。※再生資源燃料、可燃性固体類、可燃性液体類、合成樹脂類は指定可燃物となる数量以上を貯蔵・取扱う場合に、位置・構造や設備について市町村の火災予防条例に定められた技術上の基準を順守するとともにあらかじめ消防長(消防署長)に届け出が必要です。
たとえば紙くずを例にとって考えると、A4サイズのコピー用紙(約4g/枚)を25万枚以上を貯蔵する場合に指定可燃物となり、貯蔵場所の位置や構造、設備について規制を受けます。さらに、125万枚以上を貯蔵する場合はあらかじめ消防署長に届け出が必要です。
実装工程で使用される洗浄剤の中には2m3以上保有すると指定可燃物(可燃性液体)に該当するものもあります。そういった量の洗浄剤を取扱う場合は、市町村条例の規制に準じた取扱い場所の位置や構造、設備を準備し、さらにあらかじめ消防署長への届け出が必要となります。
実装工程で使用される洗浄剤には、 ・ 数量に関わらず危険物(引火性液体)に該当するもの、 ・ 数量に関わらず該当しないもの、 ・ 貯蔵・取扱う数量によって指定可燃物(可燃性液体類)になるものがあります。 ここからは、それぞれの違いを紹介いたします。
まずは消防法の危険物第4類に該当するか、該当しないかを分ける基準を確認します。 消防法の危険物第4類 引火性液体では、引火点やその他物性を基準に下表のように分類しています。 そもそも引火点が無い液体や引火点が250℃以上の液体は消防法の危険物第4類に該当しません。
実は危険物第4類 引火性液体の基準を満たすものであっても、特定の条件を満たせば引火性液体に該当しないとすることが総務省令(危険物の規制に関する規則)で定められています。 その条件は下記の通りです。
☆Note☆ 特殊引火物、第1石油類には除外条件はありません。
一定数量以上を貯蔵・取扱う場合に指定可燃物となる製品の例として、弊社製品のメタルマスク洗浄剤HA-2789を紹介します。
HA-2789の物性(抜粋)は下の表のとおりです。
引火点が97℃なので第3石油類の基準を満たしますが、引火性液体の含有量が40%以下であるため引火性液体には当たらず、2m3以上保有する場合は指定可燃物となります。
2m3はリットルに換算すると、2,000リットルとなります。 HA-2789の入り目は12kg/缶(比重が0.97のため容量に換算する約12.37リットル/缶)ですので、2,000リットルの保有量は2,000リットル÷12.37リットル/缶=161.68缶(≒162缶)となります。
しかし実際にHA-2789を運用する際、例えば弊社の推奨する洗浄機(サワーエコブリッドSC-AH100-LV)に投入して使用する場合、洗浄機を動かすのに必要な液量(取扱う量)は15リットルで、指定可燃物に該当する量である2,000リットルの1/100以下で運用でき、届け出の必要はありません。
このように実装工程においては2m3もの量の洗浄剤を貯蔵・取扱うことは極めて稀な事例かと思います。ですが、貯蔵・取扱う数量によって、指定可燃物に該当し消防署長への届け出などが必要となることは認識しておくべきです。
*本ページに記載されている情報について、詳細および最新情報は各市町村のウェブサイトなどをご確認ください。
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日本国外の方は英語ページでお問い合わせください。
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